診療所の医師として 日々奮闘中

第8号(2020年7月発行)

南牧村診療所 所長

小林 和之さん [佐久中央小・佐久中卒 31歳]

新型コロナウイルスについて、自作の紙芝居でわかりやすく説明する小林和之さん
新型コロナウイルスについて、自作の紙芝居でわかりやすく説明する小林和之さん

人と地域とつながる総合診療の道へ

佐久総合病院総合診療科の医師として南牧村に赴任して2年目。「南牧村出張診療所」と「野辺山へき地診療所」、一人で2つの村立診療所を掛け持ちし、診療・往診をしている。

小林さんが医師を目指したきっかけは、看護師をしていたお母さんの影響だった。はじめは小児科や産婦人科といった医師不足の分野を目指したが、研修を重ねるうちに、地域とのつながりを大切にし人そのものを診る総合診療に興味を持つようになった。残念ながら、最初に小林さんに道を示してくれたお母さんは2年前に他界。だが、佐久総合病院小海分院で親子一緒に働いた時期もあり、医療人としての思いは小林さんにしっかり受け継がれている。

 

医療をもっと身近に

住む地域や社会的理由で医療が届きにくい人たちがいる。そんな場合でも平等に医療を行き渡らせられるのが診療所の機能だ。だからこそ小林さんは、住民の生活に寄り添って楽しみながら診療する。患者さんに畑の作り方を教わったり、地元のイベントでプースを出したり、『診療所だより』を発行したり、身近に感じてもらう工夫も欠かさない。県下で初の新型コロナウイルス感染者が確認された南牧村。コロナ禍では、紙芝居を作成し、見えないウイルスに不安を抱えている住民に向け、正しい対処法を広めた。 

 

「診療所だより」(診療所からこんにちは) 3ヶ月に1回発行し、白黒印刷のものを村内全戸に配布している。
「診療所だより」(診療所からこんにちは) 3ヶ月に1回発行し、白黒印刷のものを村内全戸に配布している。

自然の中で思い切り遊んだ少年時代

自然豊かな佐久穂町。幼い頃は近所の子どもたちと田んぼでカエルをとったり、雪の上を踏み荒らしたり、釣りを教わったり、とにかく外でたくさん遊んだという小林さん。「凍った坂を勢いよく滑り降りて他所の家のガラスを割ってしまって謝って許してもらって。佐久穂の人はあたたかいです(笑)」と、やんちゃなエピソードも明かす。「少年野球もやっていたけど、自分たちの学年は弱くて…でもそれもいい思い出ですね。小学校では金管クラプに所属してトロンボーンをやっていました。今でも佐久総合病院の吹奏楽団に所属していて「トロンポーンの先生」なんて呼ばれたりします。先生たちも個性的で面白くて楽しい少年時代でした。

 

 

 

 

若い皆さんへ

佐久穂中学校の最初の卒業生が成人を迎えるとのこと。20歳前後のころ、 自分は信州大学に進学しアパートで独り暮らしをしていました。3カ月に 一度くらいは佐久穂に帰って来て、地元にいる同級生と集まって近況を話したり、夜通しゲームをしたりと子どもの時の遊びの延長のようなことをしていたのを覚えています。

 

若い皆さんの未来は明るいです。 無駄なことは何一つありません。失敗すること、うまくいかないこと、自分にもありましたが、地元の仲間や先生、 コーチの言葉や存在が支えになりました。 皆さんには佐久穂という帰る場所があります。安心して何にでも挑戦してください。

※年齢、肩書等は発行時のものです。