消防団員としての使命を再認識した台風19号

第6号(2019年12月発行)

撮影:佐久穂町地域おこし協力隊 山上雅子
撮影:佐久穂町地域おこし協力隊 山上雅子
巴 桂太さん
巴 桂太さん
小須田達彦さん
小須田達彦さん
中村健人さん
中村健人さん
菊池真由美さん
菊池真由美さん
小宮山花恵さん
小宮山花恵さん

台風 19号で被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

~わがまちを守る消防団~

今回、さくほ通信の制作にあたり、10月 5日(土)に、佐久穂町の消防団員の方5名にインタビューを行いました。そして、その1週間後、台風19号が長野県内はじめ、全国に甚大な被害をもたらしました。今回、台風直撃前に行った消防団員インタビューと、台風19号で実際に消防団員として活動した団員の方の話を掲載します。

小須田 達彦さん
小須田 達彦さん

今回の台風災害にあたり、消防団員として、どんなことを感じましたか。

何より、自分が住んでいる場所が大きく変わってしまった。そこらじゅうで土砂崩れが起こり、その状況に茫然としてしまいました。

団員としては、雨が降っている間は、避難所へ早く避難するように声を掛けてまわりました。土のうを作ったり積んだり。台風が過ぎて一夜明けてからは、被災されたお宅の土砂のかき出し、土砂崩れがあった道が通れ   るように土砂をどかしました。とにかく自分のできることをやるのに必死でした。

「自分は大丈夫だ」と思わず、避難勧告が出たらすぐに避難してください。それと普段からの備えが大事になってきます。断水、停電などが起きないとも限らないので、想定した備えは必要だと思います。

 

消防団員の重要性を実感したのでは

 実際に災害を経験して、台風19号が来る前と後では、災害についての考え方が大きく変わりました。年間団員をやってきて、本格的な災害は初めて経験しました。実際に何ができたかは分かりません。どれだけできたのかも分かりません。でも、私たち消防団員が状況を見て、避難を呼びかけたりしないといけない。それが命を守ることにも直結します。道を通れるようにすることもそうですが、自分たちの使命を再確認しました。

 被災された方の少しでも力になれるような存在でありたい。自分ができることは限られているけど、自分ができることで、消防団員として地域のために関わっていきたいです。

台風19号で甚大な被害を受けた大日向地区で活動する小須田達彦さん
台風19号で甚大な被害を受けた大日向地区で活動する小須田達彦さん
防災訓練では地域防災力を高める活動を行っている。(大日向4区)
防災訓練では地域防災力を高める活動を行っている。(大日向4区)
防災訓練では地域防災力を高める活動を行っている。(大日向4区)
防災訓練では地域防災力を高める活動を行っている。(大日向4区)

消防団員座談会

菊池真由美さん
菊池真由美さん

Q:消防団に入団したきっかけ

巴桂太さん(以下巴) 住んでいる地区が二十数軒しかないので自然な流れですね。地元で働いていると声が掛かりますね。

小須田達彦さん(以下小須田) 就職して2年目ぐらいに、班の先輩に誘われて。私も入って当然という感じでいました。

中村健人さん(以下中村) 団長と同じ職場なので、入社してすぐに声が掛かりました。

菊池真由美さん(以下菊池) 女性班ができたのは昨年ですが、その前から入団しています。役場の保育士として採用された時に誘われ、同期3人で誘い合って入りました。3人一緒ならできるかなと。

小宮山花恵さん(以下小宮山) 父が消防団に入っていましたが、女性班ができたということで、勧められました。

 

小宮山花恵さん
小宮山花恵さん

Q:消防団のいいところ、やりがいは

 いろんな職業の方がいて、それぞれ動ける時間も違ったりしますが、それぞれができる範囲での活動で、なおかつみんなでフォローし合って、成り立っているのが消防団だと思います。それぞれがつながりを持ちながら、地域のためになっているのかな。しっかり見てくれている人がいて、「ご苦労さま」と声を掛けてもらえるのも嬉しいですね。

中村 火事の残火処理の時に、近所の人に「ありがとう」と声を掛けてもらい、地域の役に立てていることを実感します。

菊池 ラッパ班に所属していましたが、小中高と吹奏楽部だったので、楽譜が読めない人に教えてあげたり、昔の経験を生かせるのがいいですね。他に女性として何ができるかというと、火災などに遭われたお宅のお子さんなどがいたら、安心できるよう、気が休まるように接してあげるなど、女性ならではの貢献ができればと思っています。

小宮山 入団1年目なので具体的にはまだこれからです。介護の仕事をしているので、介護が必要な方がいれば自分の強みを生かせれば。小さな子どもが好きなので、話し相手になってあげたりもしたいですね。

 

小須田達彦さん
小須田達彦さん

 Q:消防団でできたつながりは

 入団した時に年が近い先輩でも7〜8歳以上離れた知らない人ばかりでしたが、皆さん気さくに声をかけてくれて、飲みにも連れて行ってもらったり、お世話になりました。入らなければ分からなかった人も多かったのですが、消防団に入ったことでいろんなコミュニティができました。

小須田 近所の3040代の知り合いができました。(ポンプ操法の)選手をやってからはいろいろ教えていただいたり、分団内の他の班の人とも知り合いになりました。

中村 広い年齢層の方とのつながりができました。幅広い職種、年齢の人と話ができるのは、消防団に入っているからこそ。ポンプ操法で選手をやると、いろんな人から声を掛けてもらうようになりました。自分の人生相談や、アドバイスをしてもらったり・・・消防団に入ったからこそできたつながりです。

菊池 ラッパ班は特定の地域ではなく町内全域なので、広い地域の人と知り合うことができます。保育士は外部と関わることがあまりないので、いろんな方と接するということは、視野も広がりますし、自分のためにもなります。

 

中村健人さん
中村健人さん

Q:消防団に入る前のイメージと、実際やってみて感じることは

 入団する前は消防団のイメージはほとんどありませんでした。厳しいこともありますが、終わってからの懇親会など皆さんといろんな話ができるのは楽しい。その一方で、ちゃんとやるべきときはちゃんとやる、メリハリがついているのが消防団です。

中村 私のところは上下関係も特に厳しくないですし、〝お酒を飲むイメージ〞がありましたが、そんなこともなく、入団前に持っていたイメージよりもやりやすいですね。

菊池 諏訪市に住んでいた時、豪雨があり、消防団の方が訪ねてきて避難を促されました。膝丈まで水が来たのですが、助けていただいたことがありましたし、ラッパ隊の方が毎晩練習する姿を見て格好いいと思っていたので、もともといいイメージを持っていました。

 

巴 桂太さん
巴 桂太さん

Q:防災について地域の人に伝えたいことは

 防災は子どもの頃からの教えが大事です。コンセントなどがそうですが、火遊びで簡単に火災が起こってしまうことを知ってほしいです。保育士さんなどにはぜひ消防団に入ってもらって、自ら知識を身に付けて、子どもたちに教えてほしいですね。

 みなさん自分は大丈夫だろうと思っている方が多いようですが、そう思わず、誰にでも起きうると思って、日ごろから意識していただければ。

 昨今は地域防災力を高める必要性が増しています。行政だけでは限界があります。地域に住んでいる人にも、一緒になって取り組んでもらいたいです。

 新入団員募集中です。自分たちの住んでいるまちを守るために一緒にやりましょう。

取材後記

 今回の台風19号で私たちのために尽力してくれた消防団員のみなさん。消防団の役割や、重要性を感じられた方も多いことと思います。消防団活動へのご理解や、ご協力をお願いします。

 団員の方の言葉にもありましたが、消防団員を募集しています。興味のある方、地域への貢献を考えている方は、ぜひ、力を貸してください。

■参加者プロフィール

巴 桂太さん   (34歳)八千穂小・八千穂中卒 第4分団

小須田 達彦さん (31歳)佐久東小・佐久中卒 第3分団

中村 健人さん  (25歳)佐久西小・佐久中卒 第2分団

菊池 真由美さん (34歳)佐久中央小・佐久中卒 女性班

小宮山 花恵さん (20歳)八千穂小・八千穂中卒 女性班

※年齢、肩書等は発行時のものです。