さくほの夏が待ってる。

第3号(2018年7月発行)

屋台が練り歩く「栄橋」の袂にて  左から/日向 正貴さん、高見沢 将さん、髙見澤 直保さん、小林 和照さん
屋台が練り歩く「栄橋」の袂にて  左から/日向 正貴さん、高見沢 将さん、髙見澤 直保さん、小林 和照さん

さくほを語ろう 祇園祭の若衆 ほろよい座談会 

 祇園祭のシーズンが近づいてきました。祭りがつくり出す独特の雰囲気と、高揚感。皆さんも子どものころ祭りで楽しい思い出をつくってきたことでしょう。脈々と受け継がれてきた祇園祭は、地元のアイデンティティーを示すものかもしれません。たとえ働き場所が町外であっても、自分の住む場所は“ここ佐久穂”。そんな佐久穂人も多いのです。佐久穂を愛し、祭りを担う皆さんに集まってもらい、佐久穂と祭りを語っていただきました。

写真左前/髙見澤 直保さん、写真左奥/高見沢 将さん、写真右奥/日向 正貴さん、写真右前/小林和照さん
写真左前/髙見澤 直保さん、写真左奥/高見沢 将さん、写真右奥/日向 正貴さん、写真右前/小林和照さん

Q:勤務先は佐久市の方が多いようですが、佐久穂町に住み続ける理由は

髙見澤直保さん (以下髙見澤直) 昔からの仲間がいるから。 住みやすいし出る理由が見当たりません

高見沢将さん (以下高見沢将) 自分は3人姉弟の長男で、 当たり前のように住んでいます。 佐久穂町を出ようと考えたこともないですね。

日向正貴さん (以下日向) 東京で働いていましたが、 子どもを保育園に入れようと思ったところ、 待機児童が600人といわれ、 安心して預けられる地元に戻ってきました。

 

Q:中部横断自動車道が開通しました。 利用は

髙見澤(直) 毎日 (佐久市へ) 通勤に使っています。 早いし快適で、(慣れてしまった)今となっては信号ある道路は走れませんね (笑)。今日、集合時間に間に合ったのも、 中部横断自動車道を使ったからなんです。

日向  通勤もそうですが、開通で大きい影響と言えば、実家が動いたことですね。 道が通るに当たって、立ち退きの話があって、おかげで新しい家になりました。決まったのは自分が東京にいる頃で、『引っ越すから』といわれ、最初、意味が分かんなかったですね(笑)。通勤だけでなく遠出もしやすくなりました。

高見沢 (将) 職場は臼田なので、 通勤には使いませんが、新しい道を走る人が増えたことで、 国道が以前より混雑しなくなりました。ある意味、恩恵です。

 

Q:佐久穂町の好きなところは

小林和照さん(以下小林) 自然豊かなところ。これしかない。子どもがのびのびと遊べる環境が整っているのがいいですね。

髙見澤(直) とにかく自然が好きなんで。 趣味で釣りをするので、千曲川をはじめ、釣りをするには最高の場所です。行こうと思えば、すぐそこに川がありますから。

高見沢(将) ほのぼのとした雰囲気が好きです。ほどよく便利。ツルヤもモスバーガーもあるし。

日向  歩いて千曲病院にも行けるし(笑) 。

 

Q:祇園祭の思い出や、祭りへの思いなどを聞かせてください

小林  妹が祇園祭の日に生まれたので、 お祝いで寿司が食べられる日というか、一年の中でもうれしい日でした。祇園祭には高校生の時から携わってきましたが、大変なこともありますが、やる側は楽しいです。見ている側であれば、〝しめきり〞の意味も分からず見ていたと思いますが、やる側になって初めて知ることもたくさんありました。

髙見澤 (直) 祭りの楽しみといえば出店。子どもの時、小遣いを握りしめて、東町の出店にいきました。酒臭いおじさんが屋台を押している印象はありましたが、太鼓を打つ姿が格好いいなと思っていて、いつか自分もやりたいなあ、なんて思っていました。

高見沢(将) 昔は今よりも華やかだった気がします。 昔は、727日が宵祭り(前夜祭)28日が本祭と日にちが決まっていて、他の市町村のお祭りと開催日が必ずずれていたのですが、今は7月末の金・土曜日に開催される様になり、他の市町村の祭りと重なってしまい、 そちらに行ってしまう方が多いのが残念です。 だからこそ、 一層盛り上げて守っていかなきゃ、という使命感は持っています。

髙見澤 (直) 自分たちがわくわくしたように、今の子どもたちにも、自分たちが体験したような楽しい思い出をつくってあげたいと思っていますね。

 

Q:佐久穂町の祇園祭はどんな祭り

高見澤(勝) もともとは東町以外の3町でやっていたそうなんですが、相生が〝男屋台“、私の翠町が〝女屋台”柳町が〝男屋台〞と言われています。翠町の屋台には格子が掛かっていて中が見えない。羽目をはずすことはやってはいけなくて、〝品よく〞と教えられました。4町ごとによって演奏して良い曲といけない曲が決まっているんです。

高見澤 (直) 翠町の後に続くのが相生町なんですが、相生の後ろの東町から〝女屋台〞を守るのが僕らの役目。女屋台に追いつかれないように時間を稼ぐんです。とはいっても、屋台をぶつけちゃいけなので、ぶつからないようにうまくやらないと。

日向  とにかくちゃんと叩けと言われています。東町に入ったら、激しい曲をエンドレスで叩きました。有志をもらっている店の前では、演奏を見せるんです。子どもの時は、理由は分かっていませんでしたが、自分が携わって初めて分かりました。

 

Q:今年の祇園祭への意気込みを

高見澤 (直) 祭りとして自分たちが楽しむだけでなく、神事だということを意識しながらやっていこうと思っています。

高見沢(将) 高野町祇園は若衆が運行し、皆40歳ぐらいで卒業します。しかし、翠町は父が祇園の現役だった頃、若衆だけでは人数が足りなくなり、それ以来、翠町の常会で運行する様になったそうです。なので、うちだけ年代が幅広い。せっかく長く携わらせてもらえるので、伝統を守っていくことを使命にやっていきたいです。

日向  35歳で定年といわれていましたが、 人がいないので、今年からお手伝い役として携わっていきます。 一人でもいいので、新人に入ってほしいですね。入ってもらって新しい風を吹き込んでもらって、次の世代に繋げていきたいですね。

小林  まずは競り合いなどでケガなくやることです。東町は特に人手不足なので、 新しい人に入ってもらいたい。4町で力を合わせて町の盛り上がりをつくりだしたいです。

高野町祇園祭概要

  高野町祇園祭は、毎年七月下旬に開催されます。一説には江戸時代から四百年続いているともいわれていますが、起源は明確ではありません。高野町諏訪社に鎮座する「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」のご神体を納めた神輿を先頭に、宵祭り、本祭りの二日間、四台(柳町、翠町、相生町、東町)の屋台が疫病退散を祈願し、大太鼓、締太鼓、鼓、笛、三味線で奏でるお囃子とともに、6か所に張られた「注連縄(しめなわ)」を切って回ります。以前は高野町地区のみのお祭りでしたが、今では伝統的な町のお祭りとして住民に親しまれています。今年は727日(金)・28日(土)に開催されます。

■参加者プロフィール

髙見澤 直保さん (37歳)  佐久西小・佐久中卒 会社員 佐久市内勤務

高見沢 将さん  (41歳)  佐久西小・佐久中卒 佐久市内病院勤務

日向 正貴さん  (37歳)  佐久西小・佐久中卒 佐久市内メガネ販売店勤務

小林 和照さん  (31歳)  佐久中央小・佐久中卒 自営業

※年齢、勤務先等は発行時のものです。